4次の行列式の計算
はじめのはじめに
この記事はwww.adventar.orgの24日目の記事として書かれています。
はじめに
行列式を成分で「わーっ」って書くの、3次までしか見たことなかったので4次の場合を書きます。
2次と3次
よく知られているように、2次の正方行列の行列式は
で計算でき、3次の正方行列の行列式はサラスの方法*1を使って簡単に計算できます。
n次
一般に次の正方行列の行列式は
と定義されます。
n=4
と言われてもよく分からないので4次の場合を具体的に計算してみましょう。
まず、は文字のすべての置換について和をとるという意味です。すべての置換とは、の並び替えのすべての場合ということです。つまり総和記号を使わずに書くと、項に展開できます。4次の場合は項です。
たとえば、の並び替えとしてが考えられます。このとき
と書いたり、
と書いたりします。気持ちは、は1を4に、2を3に、3を2に、4を1に置き換える、という感じです。これで、(1)式のの部分の意味が分かったと思います。
最後に *2ですが、これは
です。あとは偶置換と奇置換の意味が分かればいいのですが、ここで互換の考えを導入します。ただ、これは簡単で、2つの文字の置換
をと書いて「互換」と呼びます。つまり、互換とはとをswapして、その他の要素は何もしないという置換です。置換と互換について次の事実が知られています。
任意の置換はいくつかの互換の積で表せる。*3
たとえば先ほどの例のでは
となるので、と表せます。() また、とも表せます。このことから分かるように、ある置換をいくつかの互換の積で表すとき、その表し方は一通りには定まりません。ただし、互換の個数について次の事実が知られています。
任意の置換はいくつかの互換の積で表せるが、互換の個数の偶奇は一通りに定まる。
これで、偶置換・奇置換の意味が分かると思います。つまり、偶数個の互換の積で表される置換は偶置換で、奇数個の互換の積で表される置換は奇置換です。
n=4(再チャレンジ)
まず、個の置換を明記しておきます。ただし、と書いて
を意味するものとします。(一行目は省略するということです)
たとえば、です。以上の準備で、4次正方行列
を定義に従って計算できます。
おわりに
タイプミスがあると思います。
※追記(12/24)
Twitterで貴重な情報を頂きました。
1ページ使って書いてある面白い参考書があります pic.twitter.com/FXaeRgIkt0
— うぃんじー(社会的) (@wing3196) 2016年12月24日