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ベクトル空間になりそうでならないもの

ベクトル空間(線形空間)についてです。


 xについて2次の実数係数多項式の全体  \displaystyle
\tilde{\mathbb{R}} \lbrack x\rbrack _2 はベクトル空間になるでしょうか。タイトルによると、ならないようです。

ベクトル空間

ベクトル空間 Vとは、次の2つの条件を満たす集合のことです。

  1.  \boldsymbol{a},\ \boldsymbol{b} \in Vならば、 \boldsymbol{a}+\boldsymbol{b} \in V
  2.  \boldsymbol{a} \in Vならば、 k \boldsymbol{a} \in V\ (k \in K)

 K \mathbb{R}だったり、 \mathbb{C}だったりします。 Vは空でないとします。


与えられた集合がベクトル空間であるかどうかは、この2つを調べればよさそうです。 任意の2次の実数係数多項式 \displaystyle
ax^2+bx+c\ (a\neq 0,\ a,\ b,\ c\in \mathbb{R})
で表されるので、 \tilde{\mathbb{R}} \lbrack x\rbrack _2の元を


a_1 x^2+b_1 x+c_1 \tag{1} 
a_2 x^2+b_2 x+c_2 \tag{2}

とおけます。(1)式と(2)式の和は


(a_1 + a_2) x^2+(b_1 +b_2) x+(c_1 + c_2) \tag{3}

となります。各係数は実数の和になっているので、当然実数です。だから、(3)式もまた \tilde{\mathbb{R}} \lbrack x\rbrack _2の元となって、ベクトル空間の条件の1つ目は満たされそうです。しかし、a_1 = -a_2のときを考えてみると、(3)式の2次の項は係数が0になって


(b_1 +b_2) x+(c_1 + c_2) \notin \tilde{\mathbb{R}} \lbrack x\rbrack _2 \tag{4}

となります。よって、条件1を満たさないので、2次の実数係数多項式全体 \tilde{\mathbb{R}} \lbrack x\rbrack _2はベクトル空間になりません。


ただし、2次 以下 の実数係数多項式全体 \mathbb{R} \lbrack x\rbrack _2はベクトル空間になります。ふつうは、こっちです。